モアイ・ザ・ババリアンの涙

さっきから目につく、プリントの切れ端。

計算用紙か何かに使ったようで、裏にはなんか書いてある。

ふふっ。

不覚にも笑ってしまった。

「モアイです。」と吹き出しのついたそれは、顔からじかに手足が伸びており、右手にはなぜだか鉛筆を握らされているのが面白い。

誰かが僕のために書いたんだろうが、誰だったか、ちょっと思い出せない。

無表情な僕の似顔絵、口もとだけちょっと、笑っている。


よし、外も気持ち小降りになってきたし、そろそろ、もう、出発しようか。

遅刻するといけないから。

あの子はもう乗っただろうか?

降りしきる雨の中。