「まあ、助けていただきましたし、私はそれでも」


過去に何かあったかも知れないけど、気持ちはわからなくもないし、責める気もない。


それに案外、裏切られたショックもなかった。


「甘やかすなよ?一発くらい殴ってもバチ当たらんで」


「女の子に手を挙げるのは良くないですよ」


「黙れ、エロ親父。オカンも何か言うたれよ。手ぇ出すんはええんかって」


傍で見ていたきれいな女の人に。さっき一緒にいた人だ。


「何かって…。地味に女癖悪いのは今に始まったことやないし。もう離婚もしてるんやし。女の好みは血筋ってことやね」


「へっ!?」


いや待て、今なんと??離婚??好みがどうとか??何の話ですか???


そしてまた、変な声が出てしまった。
と、花子さんが、


「知らなかったの??その人、白鳥先生の奥さんと、矢水くん。親子だよ」


え"え"え"え"え"???!!
あんぐりと口を開けて固まる私。


「間に合えへんかも知れんからって、頼んで先に来て様子見てもうてたんや。友達に迷惑掛けれんし」


親なら大丈夫と思ったのか。
まあ大人だし、いざとなったら頼りになるのは親兄弟ってことね。