「……ふたりとも」
無表情の少女はわたしたちを呼んだ。
「よく聞きなさい。私を助けたお礼に良いことをお教えしますわ」
……知ってはいけない気がした。
「なんだよ」
名も無き戦士はあざ笑うようなトーンで
言った。
「知っては驚くことでしょう……。
人間は死んでも天国には行きません……
死んだ時点で、誰かの子供になります。
魂を宿らせるのです……。
どうかそれをお忘れなきよう」
無表情、一字一句漏らさずに発した少女に
恐怖心が宿る。
「現実から来たさりなさんには忘れてはいけないことでしょう」
「なっ……私?」
「ええ。そこの戦士と私は現実には居ません。何かから生まれたのでしょうね」
ツインテールの少女は何者かわからない
言っていることの理解を深めるのが難しい。
「さぁ行きますよ、名も無き戦士よ。
あなたは現実に帰るのでしょう?さりな。私はあなたをさらうことは出来ません」
……去るふたりを見つめたわたし。
何も返さず、ただわたしは遺跡の虚空を見つめていた。
ツタが無駄に伸びた天井を見つめることしか出来ない……。
死のことを知ってしまった悲しさは無表情の涙……。
昔、死について考えていた。トラウマを呼ぶくらいなのに、こんな形でよみがえろうとは──────…
なんて悲しく。
その考えていたことは現実にも、植え付けるように覚えていて……
こびりついたように。
いずれ忘れられるのだろうけど……
おわり
