それは、沖田が夜中に喀血した時のこと




「お兄ちゃん!!しっかり!!」


バタバタと土方の部屋に知らせに行き

山崎を呼んで貰う



足音で目覚めた幹部らが

沖田の部屋に集まる



紅く染まった沖田の手を汲んできた水に

手拭いを浸して、何度も拭く



「水替えてくる」




縁桶を手に立つと




「貸せ、俺が行く」



永倉が桶を取り上げた




「熱が出てきたから
冷やすのも用意してくれ」



永倉とふたりで井戸へ




永倉が水を汲んでいる間

縁が灯りを照らす



その灯りが揺れる




縁の手が震えているから






「心配すんな!総司は、大丈夫だよ!」


縁が永倉に視線をやると

永倉が微笑んでいた



「お前の方が心配だな
顔色悪いぞ?」


そう言って、頬を突かれる






(…不思議
怖くなくなってきた)







「驚いて…
そうだよな!大丈夫!大丈夫!」



「おう!戻るぞ!」