その頃


試衛館の幹部らが、土方の部屋にいた


「縁の行動に注意してくれ」



「間者容疑は、晴れたのになんでだよ!」


次々に、土方への抗議の声があがったが

それに答えず


「永倉 今でも反対か?」


「いや……元々、反対じゃない
個人的に、由縁に人を斬らせたくなかった
だが、この数ヵ月であいつの仕事ぶりを
見てて、新選組に必要だと痛感した
ゆっ…縁のおかげで、命拾いした
俺は、見抜けなかった」


「全員一致で賛成だな!山崎!!」


シュタッ


「いつ頃だと思う?」


「今夜、遅くだと、思います」









夜中






静まり返った屯所の1室から

縁が廊下へ


月を見上げ、にっこり笑って


そろりそろり、足音をたてないように


屯所を出た







川原まで来ると

「ふぅー」



と、ひと息吐いた




そして、懐から出した

折れた縁の刀で作った小刀を抜いた




「ふぅー」



もうひと息吐いて


あぐらをかいた




「やっぱり…」

「ホンマ、男前やな
介錯なしに、切腹かいな?」

「縁…ダメだよ」

「縁!!」

「縁」






「え?つけて来てたの?なんで?」