詩乃の家族が、長州藩士らしきに殺された


夜の巡察で、刃物を持った詩乃を見つけ


後ろから抱きしめるように、刃物を奪おうとする


「離して!!仇討ちさせて下さい!!」



(私には、こんな感情がなかった
人を憎むことがなかった
だから、こんな詩乃が嫌だ!)



「お前がこんなことしなくていい!!
俺が、仇を取る!!
詩乃!!お前が…壊れたら嫌だ
詩乃は、詩乃でいてくれよ…」


「縁……様」


「様は、やめろ」


笑って見せると、詩乃も笑った




長州藩士が関わっているので

新選組が動くことになった

近藤の計らいで、家族を失った詩乃は

住み込み女中になった



「見つけました」



隠れ家を見つけたのは、縁だった



出陣して、激しい斬り合いを制した


怪我人を先に屯所に戻らせて


幹部らと後で戻ると



詩乃が、縁の胸に飛び込んだ


「仇は討ったぞ」


「そんな事もういいの!
縁さんが…怪我したらどうしようって
怖かったです」



憎しみで、我を忘れていたが

縁のおかげで、冷静になれた

帰って来た怪我人を見て

仇討ちを頼んだことを後悔した

縁にもしもの事があったら…

心配でたまらず


不安で、震えていた






縁は、おずおずと詩乃を抱きしめた


「俺、そんなに弱くねぇよ
だから、泣くな…」



言ってて気がついた



縁らしく振る舞って来たのに


詩乃の前では、不思議と口調が由縁になる





(口が悪いのも、気をつけないと…)