熱が出て寝込んだ縁を見舞い

藤堂が伊東の部屋へ



「藤堂君、手短にね」


「はい」




気を利かせて伊東が部屋を出た



「ゲホゲホ 平兄ちゃん」


「辛そうだな…水飲むか?」


「ケホッ ケホッ んん…いい」


「伊東さんが戻るまで、いるから
寝てもいいぞ!」


「平兄ちゃん……ケホッ」






眠ってしまった縁の額の手拭いを変えていると、伊東が戻ってきた





「あら?やっぱり安心するのね!
よく寝てるわ!さすが!お兄さんね!」


「いや……きついんでしょ」


「藤堂君だからよ!
藤堂君……私は、この子が大切なの!
もうすぐ、新選組と一悶着しなければいけないの
その時は、素直にここを出て頂戴!
貴方が先に行かなければ、この子は
意地を張るの!一緒じゃ駄目なの!
貴方が先でないと、安心しないのよ!
この子を生かす為に、逃げて頂戴!」


「伊東さん…」



伊東が何か企んでいる

それも、良くないこと

藤堂が伊東に考えを改めて貰おうと

口を開く




「伊東さん!」

「縁の為なの」



初めて、伊東の口から

広瀬君ではなく、縁という呼び名を聞き


静かに視線を縁に向けた








「わかったよ …縁の為なら」