おそらく中西は、
そんなこと想像ついている。
男とはいえ大人だ。
女子の事情なんてわかってるだろう。
あたしは立ち上がった。
「先生!! ……」
すると、うしろのほうの席から、
「あー、ごめんねー、珠理奈ちゃーん」
というのん気な声がして、
あたしは出鼻をくじかれた。
振り向くと、
西野美嘉が立ち上がるところだった。
美嘉は中西と珠理奈のところへ行き、
カイロをひろった。
「わたしのカイロー。
もー、せんせーい、ひどいですよー??
はははははは」
美嘉は中西の肩をバンバン叩く。
「お、おい西野、おまえのなのか?」
「はい、そうなんでーす。
はははははは」
「なんのために……」
「えー、聞いちゃいますかあ?
先生、知りたいのー?」
「……知りたいとかじゃない。
理由を聞いてるんだ……」
中西は調子が狂ったみたいだ。
しどろもどろになっている。
「だって、女の子なんだもーん。
はははははは」
クラスの所々から笑い声。
珠理奈もつい笑っている。
「こらー、静かにせんかー」
中西がイラついた声で叫ぶ。
「おい西野、おまえ廊下に立っとけー」
「はーい」
美嘉は喜んだように返事する。
「あ、でもその前に……」
「なんだ?」
「先生って、奥さんと一緒に寝てますかー??」
中西は目を見開いた。
「な、なんだと??
なんでそんなことをおまえが……
バカたれ、早く廊下に……」
「かわいいー。はははははは。
先生、奥さんと一緒に寝てないんだー、
その様子だとお」
「なんのためにそんなことを
おまえに答えるんだ!」
「えー、ついでー。
なんとなくー、興味??
はははははは」
でた、美嘉の天然発言。
「じゃあ、
答えられなかった先生は、
実は寂しい夫婦生活を送っている。
これで決まりですねー。
ふふふふ……」
決まったのか。
決まってしまったのか。
あたしは苦笑いした。
てか、中西の夫婦生活に興味ねー。


