中崎町アンサンブル

彼女が転校してきたのは、小学三年生の一学期の途中だった。
物静かで笑わない子だった。

背は高い方だったけど、足はそんなに速くなかった。髪がサラサラだった。色が白くて瞳が大きかった。成績は知らなかったけど、きっと賢かったに違いなかった。筆箱が可愛かった。靴がピカピカだった。いつも窓の外を見ていた。絵が抜群に巧かった。そっと彼女を見ていると、時々目が合った。僕が目をそらすと、彼女もまた窓の外に目線を戻した。

体育はいつも休んでいた。

授業の途中で保健室によく行っていた。

時々学校を休んだ。

ズル休みだって、とクラスの女子が噂していた。

何で分かるんだろう?と不思議に思った。誰に聞いたんだろうって。

でも、理由はすぐに分かった。

親らしき女の人が来て、先生に謝っている姿を何度か見かけた。