「本日限り営業いたします」
という立て札に足を止めた。
大きくていかにも薄そうなガラス窓が木枠の扉にはめ込まれていて、縦書きで「中崎理髪店」と書かれてあった。
真鍮のノブを回すと、立て付けが悪そうなドアは音もなく静かにあいた。
中に一人の女性が立っていた。
町の灯りが、初めて映した人影だった。
長い髪を後ろで束ねて、白いシャツに黒いパンツを履いていた。すらりと長い手を腕まくりして、口にヘアピンを咥えたまま鏡をのぞき込んでいる。
店には大きな椅子が二つ。
椅子と椅子の間は背の高い観葉植物で仕切られていた。
椅子の向かいに大きな鏡。
年季の入った(ように見える)板張りの床は、擦れてピカピカにてかっていた。
という立て札に足を止めた。
大きくていかにも薄そうなガラス窓が木枠の扉にはめ込まれていて、縦書きで「中崎理髪店」と書かれてあった。
真鍮のノブを回すと、立て付けが悪そうなドアは音もなく静かにあいた。
中に一人の女性が立っていた。
町の灯りが、初めて映した人影だった。
長い髪を後ろで束ねて、白いシャツに黒いパンツを履いていた。すらりと長い手を腕まくりして、口にヘアピンを咥えたまま鏡をのぞき込んでいる。
店には大きな椅子が二つ。
椅子と椅子の間は背の高い観葉植物で仕切られていた。
椅子の向かいに大きな鏡。
年季の入った(ように見える)板張りの床は、擦れてピカピカにてかっていた。


