中崎町アンサンブル

それからも何度かキスをした。
アキドリの髪はすごくいい匂いがしたし、唇はとても柔らかかった。相変わらず僕がずっと喋っていたし、彼女は静かに、でも時々笑ってくれた。

夕方までよく一緒に学校をズル休みした。
帰り際いつも彼女は「またね」と言った。僕もまたねと手を振った。
「また明日」
僕らはそう言って手を繋いだ。

振り返るといつも、アキドリの白いスカートが塔の上で揺れていた。僕はまるで母親イルカの背中にでも乗った気分で、ふわりふわりと裏山をあとにした。


「また明日」
「また明日」


明日も会えると思っていた。
話したり、キスできると思っていた。