中崎町アンサンブル

星の塔は、家から学校に行く途中の小高い山の上に建っていた。

山を切り開いてニュータウンを作ったときのモニュメントを兼ねた展望台のようなものらしかった。

「あそこで遊んではいけません」と先生に言われていたけれど、放課後に時々友達と登っては秘密基地を作って遊んでいた。

そんな星の塔に彼女がいた。


「あの……」と僕は言った。

「あら」と彼女も言った。

「何してるの?」と尋ねると、「別に何も」と彼女は答えた。それから一言、

「ようこそ」と言って少しだけ微笑んだ。


彼女は僕が来ることを最初から知っているふうだった。

その謎はすぐに解けた。

「ここ、いい?」と断って彼女の横に座ると、塔に登るまでの道がよく見えた。