両想いであるが決して言わない…性格上でもあるだろう、しかし確定な理由がある…それを明音は気付いてしまっている。

「壊したくないんだよ…きっと…私たち4人の関係を大切にしたいんだと思う…」
その言葉で要も瞬時に察した
「自分たちが恋愛関係になっちゃうと俺たちの大切な時間が崩れる…とか考えてんだろうな…」
優しい二人が考える事だからか直ぐに答えが浮かんでくる。
「そんなはず無いのにっ!……俺たちの関係って家族みたいなもんだろ!?何で律と千尋が我慢する必要があるんだよっ!」
要は、やるせない怒りと心配を感じる…その隣で胸が苦しくなる気持ちで明音は言う
「恐いんだと思う…何よりも大切だからこそ恐くて仕方ないんだよ…要くんだって恐いでしょ?だから自分の事より全員での調和を選らんじゃうんだよ…」

「…………ちょっと頭冷やす…」
そう一言だけ告げ、静かに要は立ち上がり、まだ降り続く雨の中へ歩を進め足を止めると空を仰ぐ…静かに…ただ静かに…
明音も立ち上がり背後から腕を回し要へギュっと抱き付く
「大丈夫、誰も見てない…私も見てないよ」
要は空を仰いだまま、明音の震える細い腕へ掌をあて尋ねる。
「……泣いてるの?…明音ちゃん?」
要の背中へ顔をうずめながら
「泣い…って…なっ…い…何にもっ…見てない」

「なら良かった…泣いてる表情は今日は、もう見たくないんだ……俺も空しか見てないけど雨が泣いてるみたいで…なんか嫌だな…」

一度、明音の腕を優しくほどき振り返ると正面から直ぐ引寄せる様に強く抱き締め言う
「明音ちゃんの嘘つき…泣いてんじゃん…」
明音は一瞬だけ驚いたが、優しく抱き返す。
「お互い様でしょ…さっきも言ったけど大丈夫、誰も見てないよ…私以外にはになっちゃったけど…」

「ははっ!ホントだ……ゴメン…明音ちゃん…ちょっとだけこのままで良いかな?」

「うん…良いよ…」
虚勢が崩れ、震えた声で要は言う
「…ありがとう…」
雨は、まだ降り続く