要と明音にタオルを持って来る為に、一階へ降りようとする律…すれ違う瞬間、要が腕を掴み引寄せていきなり抱きつく、濡れた衣服の水分がじわりと移る…
「ちょっと…要?」
驚いた律の顔を真っ直ぐ見つめ
「律、ごめん…ごめんなさい」
視線を逸らさず律も返す
「それは僕の台詞だよ…要、ごめん…心配掛けたね」
立ち上がり傍へ近寄り千尋も謝る
「私からも、ごめんなさい…要…」
要は近付いた千尋へも腕を伸ばし抱きつく、律と千尋の間に頭を挟む様な形になる
「律が幸せなら、俺も嬉しい…でも千尋と二人で幸せならもっと嬉しい!俺いまスッゴい幸せだ!」
要の後方から明音が歩きだす…律と千尋は明音にも謝ろうとするが、明音は人差し指を口の前に立てる
「もう“ごめんなさい”は無しっ!充分に気持ちは伝わったから」

その言葉に二人は黙って頷く…

…そしてニコッと笑い千尋側に明音も飛びつく
「私から言いたいのは……おめでとう!私もスゴく幸せだよ!」
正に一丸の状態で全員が笑う…これ以上の幸福は無いと思える程に
「俺たちは家族“みたい”じゃない…絶対にもう家族だよ!」
「そうだね、僕もその通りだと思う」
「気付くのが遅かっただけで…ずっと前からだったのよ」
「うんっ!これからも変わらずだよ……クシュン!」
明音のくしゃみで気付く…もう全員の衣服が濡れている
「このままじゃ風邪ひくね…先にお風呂入っていいよ?要」
それならと思い
「じゃあ一緒に入ろ!律」
もう上の服を脱ぎながら要が誘う
「…うん、確かにその方が早いね」
ここで明音から思わぬ一言が飛び出す
「皆で入ろっか?」
へ?っと兄弟の目が点になる…
「バカ言わないの……ほらっ!家に戻って私たちもお風呂入るわよ」
明音の手を引く千尋
「…家族ならいいじゃん…」
プクっと頬を膨らませ明音は呟く…
「それじゃあ、また明日ね」
姉妹は自分たちの家に戻ってゆく
「うん、また明日」
と見送る兄弟
「ハハッ…たまに明音ちゃんってビックリする事言うよね…要?…オープン過ぎるというか…」
微笑しながら律は言う
「うん…でもちょっと心配なんだよな…明音ちゃんのそういう所…大丈夫かな?色んな意味で…」
何時に無く真面目な表情を浮かべる要……
「要…それ全裸で言っても説得力無いよ?まぁ自宅だからいいか…」
こうして波乱の一日が終わった