要の頭を撫でながら、明音は語り始めた
「最初にお姉ちゃんが律くんの事が好きなのに気付いたのはホントに小さい頃なんだよ?私たちって、あのソファーに座る時に正面から観て左側からお姉ちゃん、律くん、要くん、私って順番がいつの間にか決まってるでしょ?でも一回だけ私が律くんの隣に座っちゃった事あったんだ…4人でいた時は楽しくいつも通りだったけどその後、私の部屋へ戻ってからお姉ちゃんにキッパリ言われたよ“律の隣に座らないで!”って…あの時のお姉ちゃんは恐かったよ~」
気持ちが落ち着いてきたのか要も語り出す
「…たぶんソレ、同じ時だと思う…律と二人になってから俺が何を言っても、ずっと律は無視じゃないけど無言だった…幼いながら沈黙の重圧を感じたよ…思い出しただけでゾッとするくらい律マジ恐かった…」
笑いながら明音が言う
「二人共、普段が優しいから尚更だよ~そこからあの順番が暗黙のルールになったんだよね」
要も笑い出す
「弟と妹は大変だね!……ありがとう明音ちゃん」
抱き締めていた腕を解き
「よしっ!俺まずは律に謝るよ!事情は全部は言えないけどね…律の幸せは俺の幸せだからっ!」
雨は知らない内に止んでいた。
「そうだね!話は私も合わせるよ!…雨もう止んだけど、びしょ濡れになっちゃったね?…帰ろっか?」
いつもの元気を取り戻した要は大声で叫ぶ
「うおー!律ゥー!!待ってろよー!明音ちゃん帰ろっ!」
いきなり明音の手を引っ張り走り出した。
「えっ!?あ…ちょっと待ってよ!要くん!?」
急に手を引かれ追いかける形で走り出す…明音は頬を赤くしながら顔を伏せ小さく呟く
「…律くん律くんって…自分の事も考えてよ………ホント要くん馬鹿だよ…」