とりあえず学校入ろ...
校門を潜ってみるけど、
辺りに人っ子一人居ない。
それは校舎に入っても同じだった。
……変なの。
授業中とはいえ、
この学校は不良校である意味有名だから、
まともに授業受ける生徒なんて
いないと思ってたけど……そうでもないらしい。
しばらくてくてく歩いてると、
両面ガラス張りの渡り廊下にちらっと
やたら髪色が派手な人影が見えた。
……あの手の髪色の人とは関わりたくないんだけど……
……しょうがない……
私よりも15センチくらい高い身長のわりに
細めの線の背中に向かって声をかける。
「...すみません」
「...」
あれ……
まさか聞こえてないことはないはず。
「あの...」
さっきより声を大きくはっきりと声をかける。
「...」
……これは、確実に聞こえてる。
なんでだか分からないけど、相手の歩調が早まったし。
……人が声掛けてるのに
無視するなんて、いい度胸じゃん……
「...あの、聞こえてますよね」
「...」
……他当たるか……っと、
まわりを見てもやっぱりこの人以外誰もいない。
……やっぱりこの人
自分が呼ばれてること分かってる……
……プチ
「……人が呼んでるのに、無視はないんじゃない……
人間としてどうなのよ青メッシュ男」
黒い髪にひと房ふた房ほど青く染めた
髪のその男は、私の言葉にやっと振り向いた。
怪訝そうな顔で。
それから、私を見るとびっくりしたような顔をした。


