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「...琉衣...」



琉衣の気配の消えた、後部座席。


まだ、彼女の清潔な残り香が漂う俺の車には、


重い空気だけが残っていた。



「...なんで、あんな、嬉しそうに...」


琉羽は...なのに...



...っ...




「お願いだ...っ...琉羽、もう琉衣を解放してやってくれ...」


もちろん、俺の他には誰1人居ない車内で、


返ってくる声はなかった。