先生。あなたはバカですか?


「お前今日、なんか様子違っただろ?」


「何で…そう思ったんですか…?」


だって、今日私彼に会っていないわ。


会ったのは、あの図書室が初めて。



すると、先生はバツの悪そうな表情で少し顔を赤らめると、


「悪かったな。どうせ俺はお前の事ばっか見てるよ」


そう言って少し拗ねた表情をしてみせる。


「…っ」


「言っておくけど!影からこっそり見てるとか、キモいことはしてねーからな!お前が気付いてないだけで、俺ら校内で結構すれ違ってるんだよ」



気付かなかった。


そう言えば、私は校内を歩く時も片手にはいつも参考書。


周りなんてさらさら見てはいない。


音だって耳には入って来ないし、まるで一人ぼっちの世界で生きているみたいだ。


このラーメンだって、


彼がいなければ一生出逢う事はなかっただろう。



私はきっと、そうして沢山の事を見落としている。


ただそれに、気付いていないフリをしているだけ…。



そう思うと、少し勿体無い気がした。


「でも、良かったよ。気に入ったみたいで」


「え?」


「ラーメン。好きなの?」