「ほら、食えよ」
私は戻されたラーメンを、今度は素直に受け取ると、
「…いただきます」
そう言ってまた一口口に運んだ。
思わず涙が滲むほど美味しい。
ジーンと身体に染み渡る感じ。
「ぷ。幸せそうな顔」
そう言われて、顔が緩んでいた事に気付いた私は、思わず顔を引き締める。
いけないっ!
この人と居るとどうも気が緩んでしまう。
「ふはっ。おせーよ。美味いだろ?ここのラーメン」
私は、コクンと小さく頷く。
そもそも、ラーメンなんて外で食べた事はないのだけど、ここのラーメンがずば抜けている事だけは分かる。
だって私、食べ物で涙が出そうになるのなんて初めてだもの。
「学生の頃からよく来ててな。他のラーメン食えなくなるほど、俺も気に入ってる」
先生は、どうやら完食したようで箸を置いて手を合わせる。
「ここのラーメン食うと、嫌なこと吹っ飛ぶだろ?」
先生は、そう言って優しげな瞳で私を見る。
私は、え?と思って思わず箸を止めた。
この人が私を強引にここまで連れて来たのって…
もしかして…
私に嫌なことを忘れさせる為?



