当然、私の意見は断然天使派である。
この一瞬の間にも、私と一緒の志望校の人達にどんどん差をつけられているんだ。
そう思うと、焦りで手に汗がじわりと滲んだ。
だけど、何でだろう?
その時の私は、挑戦的な目を向けてくる彼に逆らう事が出来なかった。
違う。
好奇心があったんだ。
自分の殻を破るこの行為に。
自分の世界を壊す、この機会に。
私は、ゆっくりと口を開ける。
そして、彼のレンゲを持つ手にそっと自分の手を添えて、自分の方に引き寄せた。
–––––––––パクリ
わぁ…
わぁぁ…
「美味しい!」
自分でも驚くほど素直な感想が口を突いて出てきた。
そんな私に先生は一度目を剥くと、
「だろ?」
嬉しそうに、目を細めて笑った。
私は彼のその表情に、思わずドキッとしてしまった。
いやいやいや!
あり得ないから!
ドキってそんな…お腹が空きすぎておかしくなっているだけ!



