「なに一回さぼったくらいで、世界の終わりみたいな顔してんだ」
先生は車から降りてくると私の前まで来て、呆れた表情を向けてくる。
…そうよ。
世界の終わりよ。
私の作り上げてきた細やかな世界が、あなたっていう悪魔に滅ぼされようとしているのよ。
いや。
悪魔なんてそんな可愛い物じゃない。
魔王よ!
大魔王!!
「大体…ここはどこなんですか?一体どこに行くんですか?学校の人に見られたりしたらどうするんですか?」
出来るだけこの男との会話を避けたいが為、私は一気に質問をぶつけた。
例えば、この状況を見た学校関係者の誰かがあらぬ勘違いをして、この人の立場が悪くなろうと私が知ったことじゃない。
ただこの人のせいで、私に有らぬ疑いが掛かるのは大問題なのよ!
「んなの、人に会わなそうな場所選んでるに決まってんだろ。質問ばっかしてねぇで、ちょっとは黙ってついて来い」
「…いだっ!」
先生は、私の鼻に強目のデコピンを打ち込むと、スタスタと前を歩いて行ってしまった。
鼻を摩りながら考える。
誰か。
この男を暗殺する許可を下さい。



