少し気を抜けばコントロール不能でパニックに陥りそうだけど、その味わった事のない緊張感は案外心地いものだ。


随分しぶとい人間になったもんだな。と自嘲が漏れてくる。


だって、ようやく念願だった教師という職に就けるんだ。


夢を叶えたくても叶えられない人達なんて世の中には山ほどいる。


そんな中、夢を掴む事が出来たんだから文句ばかり言っていたら、バチがあたるってもんでしょ?



––––––ブブッブブッ…。



そんな事を考えていたら、スカートのポケットに入れていたスマホが突然震え出して、飛び跳ねてしまいそうになった。


マナーモードにしていたのは良かっただけど…。


––––––ブブッブブッ…



途切れては何回も振動するそれに、とうとう隣にいた学年主任の先生が気付いてしまったようで…。



ギラッと、光る眼鏡を押し上げて「電源。切っておかなくてはいけませんよ」と注意をされてしまった。



「す、すみませんっ」



もう!こんな時に誰!?


早々に怒られてしまったじゃない!



生徒達のいる方に背を向け、電源を落とそうとポケットからスマホを取り出す。


その時、スマホ画面の表示が見えた。