「あーかっこ悪。俺、今お前の顔見れねーわ」


「私もです」


そう言うと、先生は体を離し、私の顔を覗き込んでくる。


「ぐっしゃぐしゃだな」


「ちょっ…!」


今私の顔見られないって言ったくせに!!


「隠すなよ。俺だって散々カッコ悪いとこ見せただろ?」


「それとこれとは話が別です」


顔を隠す私の手を、先生はそっと剥がす。


そこには、片方の口角を上げ、ニヤリと意地悪な笑みを浮かべる先生の姿。


まったく……この男は……。




「こうなったらお前、責任取れよ」



「はい?」



「俺が、かっこ悪い皺くちゃのじじいになった姿も、いつか無様に死んでくその姿も、全部お前が見届けろ」



「……っ…それって……」




偉そうだし、


俺様だし、


仮にも元生徒にこんな事を言う、どうしようもない不良教師。



だけど––––。





「二度と離さねぇからな。覚悟しとけ」





––––あなたがいれば、世界はこんなにも美しい。