先生。あなたはバカですか?

「久々に会ったお前、想像してたよりずっと綺麗になってた。女の3年て恐ろしいな。少し寂しく思ったくらいだ。だけど、嬉しかった。今までごちゃごちゃ考えてた事、全部吹っ飛ぶくらいに」


「先生……」



「……本当は、直ぐにでも抱きしめたかった」


「……っ」


そんな顔で、そんな事言うなんて反則だよ。


先生に熱っぽい視線を向けられると、一気に自分の体温が上昇するのが分かる。


だけどその熱は、次に先生が発した言葉で直ぐに冷めてしまう事になるのだけど……。


“だけど”と言って、先生は拗ねたように眉をひそめた。


「川島と出来てるのは、予想外だったけどな」


「え!?」


「初日から、お前ら相思相愛オーラ出しまくり」


力なく笑う先生。


「ちがっ…それは…っ」


それは、友達として川島君の事大好きだったから…。


もちろん川島君の方は、私の事をそういう目で見ていてくれたわけだけど、私は違う。


川島君の手を取ろうと思った事もあった。


だけど、出来なかった。


先生じゃなきゃ、だめだったんだよ。


そう言いたいのに、上手く言葉が出てこなくて、もどかしい気持ちを逃すようにスカートの裾をギュッとにぎりしめれば、先生はそんな私の様子を見てふっと眉を下げて笑った。


「気にすんな。別に攻めてるわけじゃねーよ。…むしろ、よかったと思ってる」


「え?」


「お前が幸せになってくれるなら、俺はそれでいいよ」


「なっ…!諦めるんですか!?」


そう詰め寄る私に。