「一発殴ってやんなよ。あんなおっさん」


そう言うと川島君は、私の肩を少し強めに叩いて。


「頑張れ」


そう言って、廊下の向こうへと消えて行った。


川島君……。


本当に、本当に、ありがとう……。



そんな川島君を見送ったのを確認して、私は大きく深呼吸をする。


「よしっ!」


そして、その言葉を合図に、私は数学科準備室のドアへと手を伸ばした。