「参ったなぁ〜。どっから漏れたんだぁ〜?」
頭をガシガシかく森田先生。
やっぱり…本当の事だったんだ……。
「生徒達から…聞きました」
「えー!?まじ!?最悪っ!!」
「生徒達…ショックは受けてましたけど…でも、言ってました。二人は凄くお似合いだって」
どうしよう。
口の中がパサパサして喋りづらい。
油断したら今にも涙が零れそうで、手を握り必死に気を逸らした。
「私もそう思います!二人共、美男美女ですし!…ほら!身長差だって完璧!あと…波長も合ってて…。この学校では同期で…分かり合っているし……」
もう、自分でも何を言っているのか分からない。
だめだ……。
私やっぱり…どうしても心から二人を祝う事ができない……。
今すぐこの場から逃げ出したい……。
ギュッと目をつむり、必死に次の言葉を絞り出そうとすれば。
「…ねぇ?あのさ、ちょっと待って?」
「……?」
私を見下ろす森田先生が眉をしかめ、瞬きを繰り返していた。
「生田さんさ…誰の事言ってる?」
「……森田先生の…事ですが…?」
「いや、違くて。相手の男」
そんなの……。
「……岩田先生です」
決まってるじゃないか。
じゃなきゃこんなに苦しくなんかなってない。
心から、森田先生の結婚を祝ってますよ。



