ここまで誰にも見付からないように来る為に、どれだけの神経と体力を使ったことか!!
これなら走って予備校まで行った方が幾分か楽だったと思う。
––––だったら、シカトして帰ればよかっただろ?
うん。
あいつなら憎たらしい顔でそう言うに違いない。
煩いわねっ!
私はシッカリと断りに来たのよっ!
ちゃんとあなたに聞こえるように、耳元で大声で叫んでやる為にねっ!!
–––––––「わっっっっ!!!!!」–––––––
「ぎゃあっ!?!?」
…耳元で叫んだのは、私ではない。
私は耳を押さえ、その場に屈み込み震えている方。
「ぶはっ!ビビりすぎだろっ!!」
そう。
叫んだのは、この人を指差しながら笑っている……史上最悪のクソ不良教師の方。(失敬)
「んなコソコソしなくても大丈夫だって」
不良教師は、笑い涙を拭いながら、屈み込んだままの私に手を差し伸べてくる。
この手に噛み付いてやれたらどれ程せいせいするだろう…。
私は、キッと彼を睨むとその手を無視して立ち上がった。



