先生。あなたはバカですか?


先生の視線は相変わらず私を捉え、何を考えているのかさっぱり分からない。


「…痴話喧嘩って事は…付き合ってんだ?」


「先生……?」


聞き逃してしまいそうなほど小さな声で、独り言のようにボソッと呟いたかと思うと、先生の手が私の腕にするっと伸びてくる。


それから、ゆっくりと這うような動作で私の手を持ち上げたかとえ思えば、私の指に自分の指を絡めてきた。


「!?」


ちゅっと指先にキスをされ、私の肩がビクンと跳ねる。


「……っ……っ」


声を出そうにも、声にならない。


先生の目は相変わらず私を捉え、まるで反応を楽しんでいるかのよう。


待って!待って!


本当にこれは何なのよ〜っ!!


先生の唇が、最後にちゅっと音を立てて離れ、今度は私の首にかかるチェーンを辿った。


「…これ。誰かからの贈り物?」


「……っ!」


先生の言う“これ”とは、3年前のクリスマスに先生からもらったネックレス。


あの時はまだ、少しも似合わなかったネックレスだ。


先生が言ったんじゃない。


いつか、私はこのネックレスが似合う女になるって。


だから私頑張ったんだから。


いつか、いつか奇跡が起きて、先生にまた出逢う事が出来たら…。