先生。あなたはバカですか?

ゆっくりと目を開けると、落ちてくるはずだった本は、筋の浮き出た大きな手に受け止められていて……。


温もりを感じるくらい近い、背後の気配に目を向ければ……



「岩田…先生…」



先生が、私を見下ろしていた。


心臓が心地良い音を刻み出す。



相変わらず綺麗な目だなぁ……。


色っぽくて、男らしくて。


だけど、優しさも秘めていて……。


あぁ…。


やっぱり私はこの目が好きだ。


「……くっ」


ってあれ?


「くっ……くくく」


何か私、めちゃくちゃ笑われてないかしら?


ひょっとして…もしかして……。


「い…岩田先生いつからいたんですか!?」


とうとう堪えきれず、腹を抱え笑い出す岩田先生に涙目でそう聞けば。


「……出家…するあたりから…ぶっ!あはははははは」


って、それ最初からですから!!!


「わ、笑い過ぎですっ!」


「いや…まて…マジでウケる。…死ぬ。何だよあれ、酔っ払いの独り言かよっ」


またぶはっと吹き出して、本棚をバンバン叩きながら笑っているこの男……。


だから、笑い過ぎだっての!!!


「はー笑った。何?お前、川島と喧嘩でもしたのか?」


笑い涙を指で拭いながらそう聞いてくる先生の口元は、まだ微妙に緩んでいる。


「何でそこで川島君なんですか……」


「あ?だって、お前ら付き合ってんだろ?」


……は?


一体どうしてそうなった?


思わず開いた口が塞がらない。


何で今、川島君なのよ?