先生。あなたはバカですか?

「へぇ…。屋上ってこんな風になってたんだ」


「川島君……」


屋上のドアを開け入ってきた川島君は、私の横を通り過ぎ、屋上の柵に手を掛け、見晴らしのいい景色を見渡す。


「3年間通ってたのに、知らないもんだね」


そう言って目を細める川島君の横顔は、夕焼けを受け柔らかい赤みを帯びていて、思わず魅入ってしまうほど美しい。


川島君は頭がいいから、きっと分かっているんだろうな。


いつも通りポーカーフェイスだけど、どことなく哀愁漂うその姿に胸の奥がズキズキと痛む。


「……で?話って何?」


「……っ」


川島君は、こんな時まで本当に優しいんだね。


私が切り出せないでいるのを分かっているから、そうやって促してくれているんでしょう?


分かってる。


だって、川島君はこの3年間、ずっと…ずっと私の隣にいてくれたから。


いつもそうやって、私を甘やかしてくれた。


本当は川島君だって、辛かったはずなのに。


いつだって私の心に寄り添ってくれた。



「……ごめんね…。川島君…私…」



「…何そんな泣きそうな顔してんの」


私の頬を両手で挟み、「変な顔」と言ってクッと喉を鳴らして笑う川島君。


「謝罪も、弁解もいらないよ。生田さんは何も悪い事なんてしてない」


じわりと視界が歪んでいく。