先生。あなたはバカですか?



「ふーん。じゃあ、車で送ってやるよ」


そう言って、先生はカタリと音を立てて椅子から立ち上がった。



「なっ…!けっ結構です!!」



「じゃ、後10分位したら駐車場に来な。俺も帰り支度してくるわ」


「ちょっ…!」



ヤツは、人の話など全く聞いていないのだと思う。


もしくは都合良く右から左へ抜けていくのだ。



先生は、待ってのポーズで固まる私など気にも止めず、また大あくびをしながら図書室を出て行ってしまった。



「あ…ありえない…」




関わりたくないのに…。


私の本能が関わってはいけないと警告しているのに…。



何故あなたは私の周りの堤防を、


こうも易々と乗り越えてくるのだ。









「……私…何をやっているのかしら…」


ゼーハーと肩で息をしながら私が立っているのは、


学校の職員専用駐車場……横にある木の影。



まだこの時間は、部活をやっている生徒達がちらほら見受けられるし、先生方だってまだ残っている時間帯だ。


その証拠に、駐車場にはまだ数台の車が止まっている。



何を考えているのかしらっ…あの、不良教師!


こんな中送って行くと言われた所で、有り難迷惑この上ない。