「ふーん。じゃあ、車で送ってやるよ」
そう言って、先生はカタリと音を立てて椅子から立ち上がった。
「なっ…!けっ結構です!!」
「じゃ、後10分位したら駐車場に来な。俺も帰り支度してくるわ」
「ちょっ…!」
ヤツは、人の話など全く聞いていないのだと思う。
もしくは都合良く右から左へ抜けていくのだ。
先生は、待ってのポーズで固まる私など気にも止めず、また大あくびをしながら図書室を出て行ってしまった。
「あ…ありえない…」
関わりたくないのに…。
私の本能が関わってはいけないと警告しているのに…。
何故あなたは私の周りの堤防を、
こうも易々と乗り越えてくるのだ。
*
*
「……私…何をやっているのかしら…」
ゼーハーと肩で息をしながら私が立っているのは、
学校の職員専用駐車場……横にある木の影。
まだこの時間は、部活をやっている生徒達がちらほら見受けられるし、先生方だってまだ残っている時間帯だ。
その証拠に、駐車場にはまだ数台の車が止まっている。
何を考えているのかしらっ…あの、不良教師!
こんな中送って行くと言われた所で、有り難迷惑この上ない。



