それは、じめじめとした梅雨が明け、
夏本番の陽気に汗ばむ7月も初めの頃。
私、生田 翠【いくた すい】は、普段鍵が掛かっていて入る事の出来ない校舎の屋上で、
なぜだか今
“愛の告白”
ってヤツをされている。
「バカってなんだバカって。
仮にも教師に向かってそれはねぇだろ」
「いや、あなたが“教師”だから言っているんです」
「あーまぁ、そっか」
そう。
今私の前で、校内では禁止であろうタバコを吹かしながら、カラカラと笑っているこの男。
岩田 翔太【いわた しょうた】
驚くなかれ。
彼はこの学校の一教師である。
「笑い事じゃありません。先生、こんな所に呼び出して人をからかうの止めてもらえますか?」
「からかってなんかねぇよ。ほら、告白っつったらやっぱ屋上だろ?わざわざ職員室からかっぱらってきたんだぞ?」
先生は、クルクルと人差し指で屋上の鍵を回す。
「知りません。私、この後予備校があるので、これで失礼します」
この教師。
うちの学校じゃかなり不良で名高い教師で、