先生。あなたはバカですか?

本当はどこかで気付いてた。


だけど、気付かない振りをしていた。


二人が、そういう関係だって事に……。



岩田先生の事を、自慢気に語っていた森田先生を思い出す。



……そっか。そっか。



先生は、森田先生という幸せを見付けたんだね。



ねぇ、どうしてだろう?


人の幸せは伝染するはずなのに。


何で私は今、二人の幸せを願う事が出来ないんだろう?


喜べないんだろう?


先生が生きていてくれた。


ただそれだけで良かったはずなのに。


先生の手が、私じゃない他の人に触れていると思うと、胸が苦しいよ。


先生の愛おしむような瞳が、私じゃない他の人に向けられているなんて–––––––。





この時私は気付いてしまったんだ。



私の幸せは、昔も、今も、これから先も、



先生の側にしかないんだって––––。













***


この時期はまだ、夕暮れ時の風が冷たい。


「久し振りに来たな……」


普段、生徒達が出入り出来ないようになっている屋上は、とても静かだった。


聞こえるのは、遠くのグラウンドを走る野球部の声くらい。



ここは、私にとって全てが始まった場所。