先生。あなたはバカですか?

私の手首を掴む川島君の手に力がこもる。


ごめんね。川島君。


でも、どうしてもこの気持ちは止められないの。



良かった…本当に良かった……。


私の事なんて忘れてたって構わない。


ただ、先生が生きていてくれた。それだけで十分。


3年間、先生がいない世界を生きてきた私にとっては、これでもかってくらいの奇跡なの。




もう、他には何も望まない。


先生が生きていてくれるのなら、


それでいい––––。








***


「本っっ当、どうなってるの生田さんて!!」


「すみません。どこか至らない点がありましたか?」


教育実習が始まり、早くも3日が過ぎようとしていた。


今日は森田先生の代わりに、私が丸一日授業をする日。


今も2年生の4限の授業を終え、そのままお昼にしようという事で学食へと来ていた。


「違うわよ!全くその逆っ!!実習生の授業が私のよりもよっぽど分かりやすいってどういう事!?非の打ち所がないってこういう事を言うんだわ…」


「生徒達への私の面子が丸潰れよ…」と言いながら頭を抱える森田先生に「ありがとうございます」と言って苦笑する。


そう言ってもらえるのは嬉しいけど、森田先生の授業だって繊細で分かりやすくて、生徒達にも親しみをもたれていて凄いと思う。