先生。あなたはバカですか?

「2週間という短い期間ではありますが、ご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します」








「凄い綺麗なお辞儀だったね」


「そう?ありがとう」


岩田先生と森田先生は、それぞれの準備室に授業の準備をしに行った。


その間、校舎の中を見学していいと言われたので、こうして川島君と二人、懐かしい校舎を回っている。


「見て。川島君。あんな所に自動販売機が出来てる」


「そうだね。…ねぇ、生田さん」


「昔は売店前の自動販売機に行列出来たのに、これなら生徒達並ばなくていいね!」


「生田さん」


「私達の時と変わってない気がしたけど、案外変わっているものなんだね」


「生田さん!」


川島君に手首を掴まれ、私はようやくその足を止める。


「岩田先生……覚えてなかったね」


私は、川島君を振り返らずに小さく頷く。


「…辛い?」


「違う」


「じゃあ何で、さっきからそんな泣きそうな顔してるの?」


私の顔を覗き込み、優しい瞳を向ける川島君。

せっかく川島君には気付かれないようにしてたのに…。


何で分かってしまうんだ。


もうこれ以上、川島君に心配をかけたくないのに……。


途端に涙で視界が霞んでくる。


「違うの……っ、ただ、良かったって…」


「え?」


「先生が、生きてて良かったって……嬉しくてっ……」


「……生田さん……」