先生。あなたはバカですか?



先生は、図書室ならではの長机に腕で枕を作りながら、すよすよと気持ち良さそうに眠っている。


いつの間にか、辺りに人は居なくなっていて、この広い図書室に先生と二人きり。


窓の外の青空には、オレンジ色が混ざり始めていた。



「気持ち良さそうに寝ちゃって…」



こうして見ると、やっぱり異常なまでに整った顔立ちをしている。



まつ毛…長いわね。



眠った姿は、いつもの俺様からは想像もつかないほど可愛らしい。



意外に童顔なのね。



着ているものがスーツじゃなく、制服とかだったら普通に同い年くらいに見えるかもしれない。


私は一つ溜息をつく。


この間のあの告白が、“先生”からのものなんかじゃなく“同い年の男子”からのものだったら、何か違っていたのだろうか?


この人が先生なんかじゃなければ…少しは嬉しかったりした?



「…ねぇ先生。本当に私の世界を壊してくれるんですか?」



––––––––バチッ



「☆○¥#□◇!?」



私は、ガタガタと音を立てて椅子ごと倒れそうになる。


気付いたら俺様不良教師が目を覚ましていて、思い切り目が合ってしまったのだ。