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カーテンの隙間から差し込む、柔らかな光。


今日も平和な一日が始まったと鳥達が歌う。


その歌声に誘われるように、朧げだった意識がはっきりとしてきて、重たい体をゆっくりと持ち上げた。



「……久しぶりに見たな。あの時の夢……」



違和感を感じ触れた頬は、涙で濡れていた。









––––あれから3年の月日が流れた。



今年の4月で大学4年生になった私は、高校時代ずっと一つに結っていた髪は下ろし、伸ばした髪に緩めのパーマをかけた。


出掛ける時は、最低限の化粧だってする。


服装にだって少し気を使うようになった。


そうそう。


学校の近くにアパートを借りて、一人暮らしも始めたんだ。


毎週、週末には実家に帰ってお母さんとご飯を食べるようになったし。


最近じゃ、お母さんと買い物に行ったりもするようにもなった。



3年。


たった3年かもしれない。


だけど、この3年で私も、私の周りにも、沢山の変化があった。


“たった3年”なんかじゃない。


私にとって3年はあっという間なんかじゃなかった。






「生田さん。こっち」



通勤ラッシュの時間。