先生。あなたはバカですか?

『気にし過ぎだろ。別にそいつがそれでいいって言うならいいんじゃねーの。生徒の家庭の事にまで首つっこんでたらきりねーぞ』


そう言って俺が軽くあしらうと、『んー。でもねぇ…』と言って、拓人は腑に落ちない様子でソファーの背もたれに体を埋めた。


『何でそんなに、そいつの事気にかけるんだよ?』


俺がそう問うと、拓人はキョトンと間抜けな顔で俺を見てきて、


それから『あーそっか!なるほど』と一人で妙に納得したかと思うと、なんとも腑抜けた笑みでクシャッと笑った。


『なんだよ?気持ちわりーな』


『いや、何か今色々なるほどって思って。誰かに似てるなーとは思ってたんだよな〜』


『は?似てるって何がだよ』


『その生徒。翔太に似てるんだよね』


…は?


俺に?


『何が言いたいの。お前』


眉を寄せ、不快感を露わにする俺なんか気にもとめず、拓人は言葉を続ける。


『生きる事に不自由を感じてるって言うのかな。翔太もこの子も、誰かに作られた小さな世界で窮屈そうに生きてる。俺はさ、翔太にもこの子にも、今いる世界をぶっ壊してくれるような人が現れたらいいのにって思うんだよ』


拓人は、俺がどんな人生を生きてきたか知ってる。