「お前…何でここにいるんだよ。何でそんな傷だらけなんだ」
「…聞きたいのは私の方です」
「え？」
先生の胸を押しやり、顔を上げれば少し困惑した様子の先生の顔。
「何で…何も言わずにいなくなろうとするんですか。何で私に何も言ってくれなかったんですか？ずっと……」
先生の服をギュッと掴む。
「側にいてくれるって言ったじゃないですか！｣
零れ落ちた涙は、雨粒と混ざり合い、地面へと落ちていく。
先生に伝えたかった想いは沢山沢山あるはずなのに、ちっとも上手く伝えられやしない。
先生は、苦しそうに顔を歪めると、私の手に傘を持たせ、自分はその外へと出ていった。
「…それ、使っていいから帰れ」
「先…」
「それから、もう俺のところには来るな」
ねぇ先生何で？
何でそんな事を言うの？
「何で…ですか…？」
「何でも」
「嫌です！理由もなしにそんなの納得出来ません！」
「頼むから聞き分けろ」
「聞き分けられません！だって…私は先生とずっと一緒に…」
“一緒ににいたい”そう言いかけたところで、強く腕を引かれ体がバランスを崩した。
