先生。あなたはバカですか?


「……絶対に間に合わせてみせます」


『あぁ。気を付けてな。行ってこい』


力強い峰山先生の声と、そのすぐ側で『翠ちゃん!!頑張れーっ!!』と叫んでいる花織ちゃんの声。


2人共ありがとう。


沢山の勇気をありがとう。


2人がいなかったらきっと、今の私はいないよ。




私は通話を切ると、急いで改札口へと向かった。










「ハァッ!ハァッ!ハァッ!」


もう、どれくらい走っただろう?


焼けるように熱い喉。


向かい風が冷たく、私の肌を刺す。


酸欠状態で朦朧とする意識の中、とうとう空から大粒の雨まで降り出してきた。


果たして間に合うのだろうか?


手元の時計は間もなく16時半になろうとしていた。



––––––ガッ!


「…キャッ!」


––––––ズザザーッ!!


走っていた勢いのままつまずき、激しく地面へと擦り付けられた体は激痛が走る。


足を止めてしまったせいか、急激に疲労感に襲われて、起き上がることもままならない。


吹き飛ばされたスクールカバンからは中身が飛び出し散らばっていて。


視界の先には血の滲む手のひら。


それと––––––16時半を示している時計の針。


間に…合わなかった……。


じわりと涙が滲んでくる。