先生。あなたはバカですか?

この先、どんな事があろうとそれは変わらない。




だけど、一つだけ後悔するとすれば、きっとこの瞬間、何も伝えられず先生を失う事。



「川島君…ありがとう。私、行かなきゃ…」



溢れる涙をそのままに、川島君へと視線を向ける私に。


「うん。行ってきな。安心してよ。最悪、俺が生田さんをもらってあげるから」


私の涙を拭い、イタズラな顔で笑う川島くんにクスッと笑みが零れる。


私は、色を取り戻した景色を見渡し、大きく息をすいこむと、エントランスへと踏み出し。


「行ってきます!!」


そう言って、駆け出した。


















–––––––『もしもし!?翠ちゃん!?』


数回コール音がした後、驚いたような花織ちゃんの声が聞こえてくる。


「…ハァッ…花織ちゃん!岩田先生に会える時間と場所を教えて!!」


学校から最寄りの駅までは歩いて15分ほどの距離。


私はその区間、今まで生きてきた中で初めてと言っても過言でないほどの全力疾走をした。


おかげで息は上がり、喉はカラカラ。


ここまで一度だって止めることなく酷使した足は、震えて力が入らない。


そんな膝に手をつき、駅構内の地面に滴り落ちる汗を見ながら、私はスマホを耳に当てていた。