先生。あなたはバカですか?


峰山先生は、今にも泣き出しそうな顔で私に微笑みかける。


『これだけは、嘘じゃないって自信を持って言える』


花織ちゃんの手が私の手にそっと触れて、涙がいっぱい溜まった目を細めて頷く。



『翔太は生田の事を愛してたよ』



『……っ』


『これだけは、絶対に嘘なんかじゃない』


『…っふっ…うぅ…』


ボロボロと、涙がまるで珠のようになって床へと落ちていく。


じゃあ、何で先生はいなくなってしまったの?


愛してるなら、側にいてよ。


いつもみたいにバカ言って、私を困らせ続けてよ。



先生がくれた一つ一つの記憶が走馬灯のように流れ込んできて、私の心は今にもばらばらに千切れてしまいそうだった。


先生を信じようとすればするほど、痛くて。


“なんで、どうして”が積もっていく。




『3日後の夕方、一度だけ翔太に会えるチャンスがある』


『……え?』


『その日を逃したら、もう翔太に会うことは難しくなってしまうと思う。もしかしたら…一生会えなくなるかもしれない』


一生……?


『生田が、本当に翔太に会う気がないなら、俺はそれでもいいと思ってる。だけど、生田が後悔する選択だけはしちゃいけない』