先生。あなたはバカですか?

『…今、何て?』


『翔太が、学校を辞めたんだ』


『な…』


『クリスマス以来、連絡がつかない。家に行っても出ないんだ。それで、今日文句言ってやろうと思って学校に来てみたら、あいつ休み中に辞表出してて、それが受理されたらしい』


辞表……?


先生はあの日、何も言ってはいなかった。


『さっきから、何度も電話してるんだ。でも、やっぱり出ない。生田なら何か知ってるのかと思ったんだけど……生田?』


『……私、電話してみます』


震える手で、カバンから急いでスマホを取り出す。


先生嘘ですよね?


学校を辞めただなんて嘘ですよね?


私に何も言わず、いなくなったりなんてしないですよね?


耳に当てたスマホからコール音が聴こえてくる。



–––1回、2回、3回。



先生…お願い出て。



–––4回、5回、6回……。




「……っ」


「生田!!」


膝から崩れ落ちる私を峰山先生が支えてくれる。


何で…?何で…–––。



「出ません…」



「生田…」




ねぇ。


先生何で?


何で何も言わずにいなくなってしまったの?


私は、何一つ聞かされないほどあなたにとってどうでもいい人間だったのでしょうか?