“岩田先生”と表示されたメッセージ画面に苛立ちを込めた親指でそう打ち込む。
冗談も大概にしてほしいわ。
そう心の中でごちながら大きな溜息をひとつ零すと、すぐに私も教室を後にした。
––––その夜。
「……家庭訪問ですか?」
「クリスマスイブに家庭訪問するバカがどこにいる」
「仮にも生徒を自分ちに泊めようとするバカはここにいますけどね」
そんな静かなバトルが繰り広げられているのは、我が家の玄関先。
腕組みをした私と先生の視線がバチバチと火花を散らしていた。
「は?何言ってんだお前。今日は恋人達のクリスマスイブだぞ?一緒にいないでどうすんだ」
「私はあなたの恋人である前に、受験生です!!クリスマスイブを堪能している暇なんて一秒たりともないんですが!?」
いきり立っている私を鼻で笑うと先生は。
「クリスマス一日過ごしただけで落ちるってんなら、今までお前はその程度の勉強しかしてこなかったって事だろ。そんなの俺の知った事かよ。そもそも一日も時間取らねーだろうが。今夜だけだって言ってんだろ」
なんて、相変わらず安定の不良教師具合に、私は開いた口が塞がらない。



