先生。あなたはバカですか?

そして、今日はクリスマスの前祝いという口実をつけて、初めてこうして手料理を振舞っている。


と言っても、前に先生の家で作った時と同じ、カレーという切って煮込むだけの難易度の低い簡単料理なのだが……。


あの時は失敗したシャバシャバのジャガイモなしカレーから、ほんの少しだけ腕前を上げて、シャバシャバではないジャガイモなしカレーが出来上がった時は、よし!と心の中でガッツポーズしてしまった。


美味しい?とはまだ聞く勇気がないけれど、お母さんが何も文句を言わず素直に出されたカレーを食べてくれている辺り、何とか食べられるものにはなったと言っていいのだろう。



あまりにじっと見つめていたせいか、お母さんの持つ書類越しにパチッと視線が合ってしまう。


お母さんは、ばつが悪そうに目を泳がせると、また書類へと視線を戻してしまった。


私も慌ててカレーの入った平皿へと視線を移す。


もう何年もこんな風に2人で過ごすことなんてなかったからか、私達親子の空気のむず痒さったら……。


まるで、初恋真っ只中の男女みたいだ。


そんなにすぐ、何もなかったかのような仲の良い親子になれるわけではなくて、そもそもどのようなものが“普通”なのかもイマイチ分からなくて。