その時、お母さんは同じように自分を見失うように叫んでいて、
そんな様子のお母さんを、お父さんはどこか諦めた様子で何も言わず、言われるがまま、ただ悲し気な表情でお母さんを見つめていた。
きっとお父さんは、お母さんに自分の気持ちを伝える事を諦めてしまったんだ。
ついさっきの私みたいに、お母さんには声が届かないのだと絶望してしまった。
だからお父さんは、お母さんの側から離れて行ってしまった……。
今の私とお母さんは、あの時のお父さんとお母さんと一緒。
私とお母さんもまた、分かり合う事は出来ないのかもしれない。
「あんたは、こいつの何を見てきたんだよ」
絶望しかけ、俯く私の上に落ちてきたのは、冷たく響く先生の声。
弾かれるように先生を見上げれば、いつになく真剣な表情でお母さんを真っ直ぐ見据えていた。
「何ですって……?」
「こいつは、あんたの言う通りいつだってバカ真面目に勉強ばかりしてた。それこそ自分の人生なんか棒に振るって、あんたの言う父親みたいにならないように、あんたの為だけに生きてきた」
お母さんは唇を噛みしめて、先生を睨むように見ているけど、その瞳はどこか怯えているよう。



