先生と出逢う前の自分が手招きをしながら、私のしようとしていることは無謀なのだと言っている。
……本当に…そうなの?
「教師の僕じゃなければ、口を出してもいいのでしょうか」
落ちていく私の思考の中に響き渡る凛とした声。
私の意識が、一気に音のある世界に引き戻されていく。
「あなた…何を言っているの?」
怪訝な表情を浮かべるお母さんとは裏腹に、先生は表情一つ変えない。
「僕は彼女の事に関して、“教師”として口出しした事など一度もありません」
「……どういう事?」
先生……?
「僕にとって彼女の存在は“生徒”ではないという事です」
先生は、先生の背後で目をぱちくりさせている私を振り返ると、穏やかな表情で「おいで」と言って、私の肩を抱き寄せた。
ちょっと待て……。
これはどういう事だ?
「御挨拶が遅れてしまい、すみません。僕と翠さんは、交際させて頂いています」
「「え」」
さすが親子というべきか、お母さんと私の声がピッタリ同時に漏れる。
恐らく顔も同じように目が点状態で固まっている。
な…
な……
何してくれてるんだこの不良教師~~~~~~!?!?!?
「ちょっ…ちょっと待ちなさい!……交際って…そういう……」
「男女の仲ですね」



