ねぇ、お母さん。
私の声を聞いてよ……。
自信がなくなっていく。
お母さんを説得する事が、難しい事だなんて分かっていた事なのに…。
だけど、もしかしたら分かってくれるかもって。
時間はかかるかもしれないけれど、ちゃんと分かってくれるかもって。
そう思っていたのに……。
声が、届かないの。
声が届かないんじゃ、伝える事なんて出来るはずがない。
お母さんに、届くはずがない。
いくら時間をかけたって、何も状況は変わらないんだ。
やっぱり無茶だったのだろうか。
お父さんがいなくなったあの日から、ずっとずっとお母さんの示す道の上を歩いてきた私が、そうじゃない道をひとり歩き出そうとするなんて……。
覚悟が、足りていなかったのかもしれない。
思っていたよりもずっと、お父さんを失ったお母さんの心の傷は深かった。
お母さんが私にお父さんの面影を見ている以上、私がしようとしている事はお父さんがした事と同じ、
“裏切り”になってしまう。
あぁ。そうか。
初めから私には、どうする事も出来なかったんだ。
ははっと乾いた笑いが溢れてくる。
ついさっきまで、自分の未来には沢山の希望が詰まっていたはずなのに、今はそれがみるみる色を失っていく。



