先生。あなたはバカですか?



先生が私に、未来をくれた。


先生が、私のつまらない世界を壊してくれた。


だから今ここに新しい世界があるの。


だからね。先生?


“何で”だなんて、理由はただ一つでしょ?



“先生に出逢えたから。”



ただそれだけ。




テーブルの向かい側に座っていた先生が、ゆっくりと立ち上がる。


そのまま無言でスタスタと私の所までやってきて、私の隣に膝をついた。


「……先生?」


不思議に思って先生の顔を覗き込もうとしたと同時に、ふんわり鼻を掠める先生の優しい香り。


「ちょっ…先…」


「……そうか……頑張れ。お前なら、絶対にいい教師になれる」


先生の声は、微かに震えていて、まるで泣いているみたいだ。


私を包み込む体も、小刻みに震えている。


「…見てぇな。お前が教壇に立つ姿。死ぬほど見てぇ……」


私は、弱々しくのしかかる先生のその体をとてもじゃないけど突き放すなんて出来なくて……。


先生の背中にそっと腕を回す。


「……見てください。私、きっと先生も驚くほど素敵な教師になって見せますから」


そう言った直後、


私の体に回っている先生の腕に力が篭った気がした。