両親共に教師をしていて、生まれた時から当たり前のように未来の選択が教師と決められていた先生。
でも、私達はそれが自分の世界だと思っていた。
だけど……––––。
「私は、そんな事になんてなりませんっ」
「え?」
「だって私には、先生がいてくれるからっ!」
先生が、教えてくれたから。
こんなどうしようもない私の道の脇にも、ちゃんと花が咲いているんだって事…… ––––。
先生は、1度目を見開くと「……だな」と言って、柔らかく微笑んだ。
私は後悔したりしない。
道は一つだけではないのだと気付かせてくれた先生の為にも、私は後悔する選択を絶対にしたりなんてしない。
きっと困難が付きまとうだろう。
きっとお母さんに分かってもらうには時間がかかるだろう。
だけど、絶対に逃げない。
もう決めたんだ。
「……なんか、いい匂いするな。カレー?」
「あっ!!!!」
しまった!!
忘れてた!!
先生は、何かを悟ったように目を輝かせ、
「何?お前作ったの?」
そう言って、さっきまで真っ青な顔をしていた人とは思えない動きでスクッと立ち上がる。



